谷澤 早紀(看護師・管理者)

精神看護専門看護師・保健師・公認心理師
2014年より都立松沢病院にて精神科救急看護に従事。大学院進学を経て、2020年より同病院に復帰し急性期病棟に勤務。2021年より現職。
京都府立医科大学・東京女子医科大学大学院卒(精神看護学修士)
どんなお仕事をされていますか?
新規に利用を希望される方の問い合わせ対応から、ご利用に向けた面談、契約手続き、各スタッフの訪問調整や教育、同行訪問、各関係機関との連携などを行っています。
より良いサービスを継続的に提供するためには、スタッフの心身の健康維持が大切です。「個人の困りごとはチームで負担する」「気になることは早めに消化できるよう、こまめに対話の場をつくる」といったことを意識しながら、サービス提供の質・量とスタッフへの負荷のバランス調整を心がけています。
個々の課題に合わせたケースの振り返りやフォローを実施する、強みは積極的にフィードバックするなど、スタッフが自ら学び、成長し続けられる組織をつくっていきたいです。
今の仕事のやりがいは何ですか?
「こんな軽い症状でこのサービスを使っていいんでしょうか」と不安そうに問い合わせをしてくださる利用者さんがいらっしゃいます。
これは「重い状態じゃないと使ってはいけないのではないか」という心理の表れであり、日本のメンタルヘルスサービスへの利用ハードルの高さを物語っているとも言えます。
そんな方が勇気を出してコモレビに問い合わせてくださったことに感謝し、同時に「早めにメンタルヘルスサービスを使ってよかった」と思っていただくきっかけとなれることを嬉しく思っています。
サービスを継続する中で、利用者さんの状況が目に見えて変化していくこともしばしばです。利用者さん一人ひとりが、ご自身にとっての「より良い生活」を実現する過程にご一緒できることに、やりがいを感じます。
職場の魅力について教えてください
組織として未熟な部分も多くありますが、困ったときに一緒に考え悩むことができる空気があり、とても心強く感じています。
「悩む」ような出来事に出合うことはストレスでもありますが、一方で安心して「悩む」ことができる環境があることは、一人ひとりが健やかに働き続けるために大切なポイントだと思います。また、そのような土壌があるからこそ、より良い支援や組織に向けて成長していけると考えています。
また、それぞれのスタッフが主体的に仕事を探し、看護師や事務といった職種に囚われず仕事を分担し、支え合える空気があってとても働きやすいです。これもコモレビの魅力の一つだと思います。
コモレビで実現したいこと
コモレビとつながってくださった方が増えることで、メンタルヘルスサービスを早期に活用できる好循環を社会に生み出したいと思っています。
精神疾患は決して遠い存在ではなく、ちょっとしたボタンのかけ違いで誰もがなりうる可能性がある疾患です。
しかし、精神疾患に対する社会的スティグマやセルフ・スティグマはまだまだ根強く、メンタルヘルスサービス利用へのハードルが高い現状があります。
メンタルヘルスに対する正しい知識が普及し、心の健康を考えること、そのために適切なサービスを利用することが当たり前になる社会を目指したいと思っています。
どんな人と一緒に働きたいですか?
自身の感情や思考を客観視し内省できる方、新しい物事に主体的に取り組める方と一緒に働きたいです。
私は、利用者さんとスタッフに接する態度や姿勢に違いはなく、本来同じものだと思っています。
利用者さんやスタッフと対話を重ねる中で、不安や焦り、怒りなど感情が揺れ動くことがあるかもしれません。
そんな時、少し立ち止まって自身の内側に、また他者との関係に何が起こっているのかを顧みることが大切だと思っています。
その作業を通して、利用者さんにとってより良いこと、自身や組織の成長にとってより良いことを一緒に考え、試行錯誤を重ねていける方と働けると嬉しいです。
オススメの本・映画
本:城山三郎『落日燃ゆ』、司馬遼太郎『竜馬がゆく』、司馬遼太郎『燃えよ剣』、ジェームズ・クラベル『23分間の奇跡』
映画:ラージクマール・ヒラニ(監督)『きっと、うまくいく』、トム・シャディアック(監督)『パッチ・アダムス トゥルー・ストーリー』、ガス・ヴァン・サント(監督)『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』、黒澤明『羅生門』、マーク・ロマネク(監督)『私を離さないで』