【開催レポート】児童精神科医・小澤いぶきさんとこどものメンタルケアに関するオンラインイベントを開催しました
7月9日(木)、児童精神科医の小澤いぶきさんをお招きし、オンラインイベント「こどものこころのケアの課題に対し、看護は何ができるか?」を開催しました。約100名の方からお申し込みをいただき、こどものメンタルヘルスへの関心の高さをあらためて感じる機会となりました。
はじめに、代表の森本より、コモレビがこの領域に取り組む背景をお話ししました。サービス開始から5年、ご利用者さまの98%は20代以上で、10代の方はごくわずかです。専門性の高さから、関係機関からのご相談をお断りせざるを得ない場面も少なくありませんでした。一方で、成人のご利用者さまとの対話を重ねるなかで、いまの困りごとの根に子ども時代の深い傷があると感じる場面が数多くありました。必要な支援を、より早いタイミングで届けたい。そう考え、小澤さんにアドバイザーとしてご協力いただきながら、児童思春期領域への取り組みを始めています。
続いて、元養護教諭でもあるコモレビ看護師の西田より、現場からの報告を行いました。地域の資源を活用して家族と物理的な距離を確保するなかで、少しずつ笑顔が増えていった高校生のケースなどを紹介しつつ、①こどもの声をどう聴くか、②こどもと親との距離の近さ、③多機関連携の難しさという3つの課題を共有しました。
小澤さんからは、ACEs(子ども時代の逆境体験)が生涯にわたって心身に影響を及ぼすことと同時に、肯定的な体験(保護因子)がその影響を和らげうることをお話しいただきました。「なんとなく将来は大丈夫だと思えること」「ここにいて大丈夫だと感じられること」「自分の声が聞かれ、反映されると感じられること」。こどものウェルビーイングを支えるこの3つは、医療者だけで育めるものではなく、むしろそれ以外の関わりのなかから生まれるものが多い、という言葉が印象に残りました。
パネルトークでは、こどもと出会う際の具体的な工夫——訪問前に手紙を書くこと、「部屋には入らない」「参加するかどうかは選べる」とあらかじめ伝えてもらうこと——や、「困りごと」から話を始めないという姿勢についてうかがいました。また、遊びや雑談といった一見遠回りに見える「余白」の価値をチーム全体で認め合うことが、支援者自身のケアにもつながるというお話もありました。
こどもを「患者」や「困っている子」として見る前に、一人の人として対等に出会うこと。それは、コモレビが成人の支援で大切にしてきたことと地続きでありながら、まだ多くの学びを必要とすることでもあります。今回いただいた視点を、これからの実践に丁寧に重ねていきたいと思います。