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この世界には、そのままにしておくと広がってしまう「不条理」や「不公正」が多く存在します。

グローバルに経済のあり方を規定する資本主義にせよ、国家を基本的な構成単位とした民主主義にせよ、以前に比べればより多くの人びとがその恩恵を享受するようになったかもしれません。

しかし現在でもなお、目の前にある「仕組み」や「ルール」のもつ限界や矛盾に苦しむひとや、そのひとの力ではどうしようもできない「不運」に直面し、悩みを抱える方も少なくありません。

画一的な世界観や規範ですべての人びとを包摂することが難しい時代だからこそ、わたしたちは、それぞれのひとがそれぞれの仕方で存在することができる時間・空間を、ひとりひとりに寄り添った形で提供できる存在になりたいと考えています。

ケニア共和国の首都ナイロビに広がるスラム。その片隅に、AIDSに苦しみ、あとは死を待つだけとされたひとがいました。仕事につくこともできず、ただ暗い部屋の中で過ごすばかりの彼女が、心から慕っていたコミュニティワーカーに頼んだ買い物が、「新しくて、かわいい、くつ」。足場の悪いスラムで外の世界とつながるために必要不可欠な道具を届けたとき、彼女は少しだけ自分の世界を回復したように見えました。

あるいは、強い発達特性から学校にうまくなじむことができず、不登校の状態にある小学生について。学校ではイスに座っていることも苦痛だった彼でしたが、それでもいつも楽しみにしているのが週に一度の家庭教師の先生の訪問でした。学びを通じて新しい世界に触れるときの、彼の表情がとても明るかったことが印象的です。

ひとりひとりに対してゆるやかに立ち上がり、そこに存在すること自体が肯定されるような「世界」は、その形は一つではありえません。それはとても多様な姿をしていて、そうであるがゆえに、ひとりひとりにとって手触り感がある、そんな世界です。

そんな本人だけの世界を、ひとつひとつ、丁寧に立ち上げる存在になりたい。

株式会社ソシエテのミッションには、そんな思いが込められています。